【解説動画】壊血病予防作用とコラーゲン合成促進作用~1

壊血病予防作用タイトル 健康情報

解説者: 
世界初、安定・持続型ビタミンCの発明者 薬学博士 武藤徳男

壊血病は、体内の血管や結合組織等が脆弱になることで生じる病気で、皮膚や粘膜、歯肉の出血傾向が高まり、さらに、無力感、口腔粘膜の変化、貧血、骨粗鬆化などの症状を呈します。ビタミンCは体内の細胞・組織間をつなぐコラーゲンの合成や象牙質、骨の間充組織の生成と保持を高めることで、壊血病の発生を防ぎます。
コラーゲンは動物の体・器官・組織・細胞の形を保つ重要な支持タンパク質で、体内において絶えず生合成されています。コラーゲンは、心臓から拍出されてくる血液が血管壁に及ぼす圧力(血圧)を緩衝する丈夫さと弾力を担保したり、また加齢とともに失われていく皮膚のハリを保つなど広範囲の組織構築に関わっています。このコラーゲンを正しい形の構造に作り上げるのには、その生合成の最初の段階での水酸化酵素が必要であり、この酵素の補因子としてビタミンCが必須なのです。

ビタミンCの壊血病予防作用とコラーゲン合成促進作用

【解説動画】本編内容(一部文言が異なる場所があります。)

Q:ビタミンCの欠乏で発症する壊血病について教えてください。

壊血病は、体内の血管や結合組織等が脆弱になり、皮膚や粘膜、歯肉からの出血を起こす病気です。さらに、口腔粘膜の変化、貧血、関節痛、骨粗鬆化、紫斑などの症状を呈し、倦怠感などの全身症状や骨折を伴うこともあります。つまり、壊血病はコラーゲンの合成不全から起こる病気なのです。この壊血病を防ぐ抗壊血病因子として発見された物質は、「a-(無い、抗)+scorbutic(壊血病の)」を示す酸性物質(acid)として ascorbic acid(アスコルビン酸)と命名されましたが、この物質は体内で合成できない物質であることからビタミンCとも呼ばれるようになりました。

Q:壊血病はコラーゲン合成不全による病気であると言われましたが、このコラーゲン合成におけるビタミンCの役割を教えてください。

コラーゲンは、主に脊椎動物の真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質のひとつであり、細胞をつないでいる細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分です。体内に存在するコラーゲンの総量はヒトでは全タンパク質の25-30%を占めるほど多く、それらは様々な結合組織に力学的な強度と適度な弾力性を与えているのです。コラーゲンには多種類の型が存在しますが、真皮、靱帯、腱、骨などに存在するⅠ型コラーゲンが最も多く、これは骨に弾力性を持たせ、皮膚の強さを生み出しているのです。

Ⅰ型コラーゲンの生合成のしくみを説明します。DNA上のコラーゲン遺伝子の情報を写し取ったメッセンジャーRNA(mRNA)からポリペプチド鎖(約1000個のアミノ酸がつながった分子で、プロα鎖という)が合成されます。このポリペプチド鎖中のプロリン残基やリジン残基に水酸基を導入する過程が必須で、この反応を行う酵素がプロリン水酸化酵素やリジン水酸化酵素であって、これらの酵素を活性型にするのがビタミンCなのです。つまり、ビタミンCはコラーゲン合成の初期段階での水酸化反応が正常に行われるために絶対に必要なのです。このように正常に水酸化されたポリペプチド鎖だけが3本集まって、らせん状の強固な構造をとることができ、これがプロコラーゲンの3重鎖タンパク質となります。このタンパク質が目的の場所に運ばれ、そこで集合して最終的にコラーゲン線維となるのです。つまり、コラーゲンの生合成にはビタミンCが必須であり、ビタミンC欠乏になるとコラーゲンが正常に作られなくなって、壊血病の症状が現れます。

パート2へ続く