免疫力を高めるビタミンC パート1解説文
解説者:
世界初、安定・持続型ビタミンCの発明者 薬学博士 武藤徳男
● 免疫強化作用
ビタミンC(化学的本体はL-アスコルビン酸ですが、ここではビタミンCと呼びます)は白血球やリンパ球の免疫機能を高めることが知られています。例えば、白血球の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞は、体内に侵入するウイルスに対して常に待機し、真っ先に立ち向かう細胞であり、がん化した細胞を識別して殺す働きもしていますが、このNK細胞を活性化させるインターフェロン(タンパク質の一種)を作るのにビタミンCが必要なのです。つまり、ビタミンCが不足しているとNK細胞の働きが弱まり、微生物やウイルス、がん細胞等に対する防御活性が低下することが証明されています。抗体産生を担うBリンパ球や病原体の感染した細胞を殺すためのTリンパ球なども全て細胞内に高濃度のビタミンCを持っていないと、十分な働きができないのです。
私たちはリンパ球の抗体産生や細胞障害活性に対してもビタミンCが強力な機能強化の役割を持っていることをヒト末梢血リンパ球を用いて証明しています。これらのことから、ビタミンCがかぜ予防においても効果を発揮することが期待されているのです。
Q.ヒトの体に備わっている免疫のしくみについて教えてください。
免疫とは、体に侵入してくる細菌やウイルスなどの病原菌や体内に生じたがん細胞などの自己ではない異物に対して、それらを素早く見つけて排除し、自らの体を守る働きです。この働きを担う仕組みを免疫系といいますが、すべて体内に存在する白血球やリンパ球などの免疫担当細胞が体内をめぐって異物を見つけ出し、相互に作用し合いながら、異物の排除に当たるのです。つまり、免疫とは、体内にある免疫細胞が自己の体にとっての異物、つまり非自己な成分を抗原として認識し、それぞれの免疫担当細胞が持つ能力を使って排除する生体防御システムなのです。
このように免疫細胞からなる免疫系ですが、それらの細胞は私たちの体の中の骨髄と胸腺で生まれているのです。これらを一次リンパ器官といいます。骨髄では血液中に存在するすべての血液細胞がそれらの元となる幹細胞から増殖して、それぞれ働きの違った細胞に分化し、赤血球や白血球、リンパ球、血小板などになります。白血球には単球・マクロファージ、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、樹状細胞があり、リンパ球にはBリンパ球やTリンパ球、ナチュラルキラー細胞がありますが、Tリンパ球だけは骨髄で生まれて胸腺に移動して成熟するという特徴があります。このような役割の違った免疫細胞が、体中のリンパ節や脾臓、そして消化管粘膜のリンパ組織(これらを二次リンパ器官といいます)に分布して、体に入ってきた異物を監視しているのです。
ヒトの免疫では、まず病原菌やウイルスなどの病原体感染時の初期に働く自然免疫があり、これは抗原非特異的かつその記憶が残らない防御機構になります。そして、この感染が続くと、次に獲得免疫(適応免疫ともいいます)が働いて抗原特異的かつその記憶が残る、つまり二度なしという免疫が働くのです。ワクチンによる予防接種は人為的な獲得免疫なのです。
免疫力を高めるビタミンC パート2へ続く