メラニン色素の生成抑制に働くビタミンC
美白・美肌作用
ヒト皮膚にはメラニンと呼ばれる黒褐色の色素が存在します。このメラニンは皮膚表皮最下層の基底層にある色素細胞(メラノサイト)から作り出されます。色素細胞がメラニンを作り出すには、酵素の関わりとともに紫外線の刺激等による活性酸素が原因となります。ビタミンC(化学的本体はL-アスコルビン酸であるが、ここではビタミンCと呼びます)にはメラニン産生に関わる酵素を阻害するとともに活性酸素を消去する力があるため、色素細胞がメラニンを作るのを抑えることができ、肌を白くし、シミを抑制するのです。また、ビタミンCにはコラーゲン合成促進作用などもあるため、皮膚のシワ形成を抑制することも期待されます。
解説者:
世界初、安定・持続型ビタミンCの発明者 薬学博士 武藤徳男
美白とビタミンC
解説動画本文(一部文言が異なる場合があります。)
Q. ヒトの皮膚にはメラニンと呼ばれる黒褐色の色素が存在しますが、どのようにできるのですか。そしてその役割な何ですか。
(図①)
メラニン色素は皮膚の表皮最下層の基底層や毛髪の毛母にある色素細胞(メラノサイト)で主に生成され、皮膚組織や毛髪に分布することで皮膚や毛髪の色を作ります。メラニンは、生理的には酵素(チロシナーゼ)によってアミノ酸のチロシンから合成されますが、紫外線の刺激等によって発生する活性酸素も引き金にもなります。その合成は、まずアミノ酸の一つであるチロシンがチロシナーゼという銅含有酸化酵素によって酸化されてドーパに、さらに ドーパキノンへと代謝されます。このドーパキノンは化学的反応性が高いので、自動的に次々と反応し、ドーパクロム、インドールキノンへと変化し、最終的には酸化、重合して黒褐色の真性メラニン(ユーメラニン)となります。メラニンにはもう一つ、黄色メラニン(フェオメラニン)も存在します。
この様に生成されて組織に分布するメラニンの最も重要な役割は、太陽から受ける紫外線による組織障害(核DNAの損傷など)からの防御であり、メラニン色素が紫外線を吸収することなのです。メラニンそのものは私たちの生存にも必要なのですが、過度に産生されると皮膚はくすみ、しわが増えるなどの兆候が表れます。
Q.メラニンの生成が過度になれば皮膚はくすみ、美容の面では好ましくないと感じる人が多いでしょう。このメラニン合成を抑える方法はありますか。
(図①)
健康面や美容面から皮膚における過度のメラニン産生を抑え、つやのある肌や美白を求める動きがあります。そのためには、2つの方法があって、1つはメラニンの合成を抑えること、もう1つはできたメラニンを無色化することですが、ビタミンCはいずれの作用も有しているのです。
メラニン合成経路には酵素による酸化反応が多いのですが、ビタミンCは自身の還元力によってドーパキノンを還元することでメラニン合成を遅延させる作用があります。また、生成されたメラニン(酸化型、黒色)に対してもビタミンCの還元力によって還元型(無色)にして淡色化する作用があります。この様にビタミンCは色素細胞がメラニンを作るのを抑えることができ、肌を白くし、シミを抑制する効果があるのです。さらに、ビタミンCにはコラーゲン合成促進作用があるため、皮膚のシワ形成を抑制することも期待されるのです。
Q.安定型ビタミンC誘導体AA-2Gのメラニン合成抑制作用を教えてください。
(図②)
メラニン形成細胞を用いた培養実験で、AA-2Gを添加するとその細胞におけるメラニン生成による黒色化が顕著に抑制されました。このことからAA-2Gは細胞に存在する酵素(?-グルコシダーゼ様)で加水分解を受けてビタミンCになり、メラニン生成抑制という生理作用を発揮するといえます。このことからAA-2Gが皮膚組織に塗布されると、その安定性によって長く皮膚にとどまり、持続的かつゆっくりとビタミンCを遊離し続けることで、メラニン生成を効果的に抑制するのです。このような特長を生かして化粧品等の素材として利用されており、「メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐ」効果が期待されるのです。